本州製紙工場事件
本州製紙江戸川工場の悪水放流により被害を受けた浦安の漁民が同工場に乱入して起きた大乱闘事件です。
昭和33年4月7日、旧江戸川の水が本州製紙江戸川工場からの排水で黒く濁り、浦安沿岸から葛西沖にかけて海水が変色、魚介類の大量死滅が見られました。
驚いた漁民たちは直ちに会社側との折衝や関係官庁への取り締まり陳情を開始。しかし、問題解決のきざしはなく、被害は広がり続けました。
業を煮やした漁民代表800人は6月10日、国会と都庁に陳情を行い、帰路、工場に向かいましたが、工場側は面会に応じないばかりか、監督官庁から出されている中止勧告を無視して操業を続行。
このため漁民はついに工場内に乱入し、工場側の要請した機動隊と衝突。漁民から重軽傷者105人、逮捕者8人、そのほか負傷者36人を出す大乱闘事件に発展しました。
これをきっかけに、政府は、同年12月「公共水域の水質の保全に関する法律」と「工場排水等の規則に関する法律」(「水質二法」と呼ぶ)を公布。
この事件は、戦後の経済一辺倒の行政に対する警鐘と反省の口火となりました。
しかし、浦安の漁民たちの漁業の先行きに対する不安はその後も強まるばかりとなり、昭和30年代後半、ついに漁民たちは海面埋め立てを受け入れることになりました。
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