焼玉エンジン
屋外展示場にある焼玉エンジンは、昭和30年代(1955年から1964年)、浦安の買い出し船の動力として活躍していたものです。
このエンジンは静岡県田方郡土肥町の鈴木鉄工所で製造されたものです。焼玉エンジンとは、燃焼室にある焼玉と呼ばれる部分を加熱して、燃料に着火させるエンジンのことです。日本では明治時代末期に登場し、第二次世界大戦前までは、大型漁船のエンジンの主流を占めていました。浦安では、大正時代末期から焼玉エンジンのついた船が確認されています。
屋外展示場「うらやすの町」に展示されている焼玉エンジンは、平成9年(1997年)11月25日に江戸川から引き上げられたもので、昭和33年に製造されました。このエンジンは貝などの運搬に用いる買い出し船に用いられたもので、「吉岡丸」という船についていた35馬力のものでした。エンジンの中央にあった一枚のプレートから、静岡県土肥町の鈴木鉄工所で造られたことがわかりました。
大量に生産された焼玉エンジンも、現在ではほとんど姿を消し、国内では数例しか現存していません。
「かつて浦安の町に鳴り響いていたエンジンの音を、もう一度復活させたい」という希望を胸に、平成10年(1998年)2月22日から土肥町で修復作業が始まりました。すでに焼玉エンジンの部品はまったく造られていないため、欠けていたり、使いものにならない部品のひとつひとつを造るなど、その修復は大変な作業でした。
平成12年(2000年)12月の最終組み立てには、「もやいの会」の会員も土肥に駆けつけて、朝早くから夜遅くまで修復作業に取り組み、最終調整を終えたエンジンは、平成13年2月に浦安に戻ってきました。平成13年4月1日、浦安市郷土博物館の開館日に焼玉エンジンは「ドッドッドッ」という音を響かせ、製造されてから43年ぶりに復活したのです。
全国の博物館でも、焼玉エンジンの始動を見ることができるのは、浦安の郷土博物館だけです。
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