天ぷら屋
昔、一番通りにあった天ぷら屋「天鉄」をモデルに建てられました。
この店は山本周五郎の著した小説『青べか物語』の中で、主人公がよく行った店として登場しています。実際に、周五郎も浦安に滞在していたとき(昭和3年から4年、1928年から1929年)に何度も足を運んでいました。ここでは、浦安を舞台に描かれた『青べか物語』に関する展示を行っています。
浦安と『青べか物語』
山本周五郎の名作『青べか物語』は、昭和初期の浦安が舞台となっています。周五郎は昭和3年(1928年)8月、行徳へ行く途中で、水の都ベニスを想像させた町で船を降ります。これが浦安の町です。
浦安滞在中に、周五郎は失業による貧困、失恋、また作家として自立できない苛立ちに苦しめられていました。しかし、恩人である高梨夫妻や、一時下宿をしていた船宿の息子・長太郎など、多くの町民とふれあい、この地で一年あまりを過ごします。
のちにこの見聞は、昭和35年1月号から36年1月号の『文藝春秋』に連載され、浦安は「青べかの町」として一躍有名になりました。
翌年、映画が上映されると、浦安町民からは「誇張している」、「嘘が多い」などといった批判の声もありました。
作家・山本周五郎
山本周五郎の本名は清水三十六といいます。周五郎の代表作には、『青べか物語』のほか、『樅の木は残った』、『赤ひげ診療譚』などがあります。これらの作品は広く読まれ、文学的にも高く評価されました。しかし、周五郎は直木賞を辞退したのをはじめ、ほとんどの賞を受けようとせず、執筆活動に努めました。そして、仕事場でその生涯を閉じたのです。享年63歳でした。
青べかの町・浦安
ここでは昭和6年(1931年)に松井天山によって描かれた浦安の鳥瞰図を展示しています。周五郎が浦安をあとにした直後の町並みをよく表しており、『青べか物語』の世界を知ることができる資料です。作品の中で、モデルとなったと思われる店や地名を紹介しています。
「青べか物語」作品中の店名と実際の店名
実際の店名 | |
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浦粕座 | 浦安演技館 |
浦粕亭 | 浦安亭 |
四丁目 | 二十目食堂 |
千本 | 吉野屋 |
根戸川亭 | 江戸川亭 |
喜世川 | 喜代川 |
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