選挙運動と政治活動
選挙運動と政治活動の違い
政治上の目的をもって行われるいっさいの活動を政治活動といいます。ですから、広い意味では選挙運動も政治活動の一部です。しかし、この2つは行為として大変よく似ていますが、公職選挙法では選挙運動と政治活動を理論的に明確に区別しており、それらを定義付けすると次のようになります。
選挙運動
特定の選挙について、特定の候補者の当選をはかること(そのために相手候補者を当選させないことも含む)を目的に選挙人に働きかけること。選挙運動期間中のみ認められる。
政治活動
政治上の目的をもって行われるいっさいの活動から、選挙運動にわたる行為を除いたもの。
公正な明るい選挙を実現するため、選挙運動にはさまざまな規制があります。しかし、政治活動には必要最小限の規制のみが行われます。これは、日本国憲法において国民の思想・信条・表現の自由が保障されているためです。このため、規制という点から考えると、その行為が選挙運動に当たるのか、政治活動に当たるのかが非常に重要になります。
選挙運動期間とは?
選挙運動期間とは、選挙の公示日(告示日)に立候補の届出をしてから投票日の前日までの間を指し、選挙運動はこの期間中に限って行うことができます。それ以外の期間、例えば立候補届出前にする選挙運動は「事前運動」として禁止されています。
選挙運動期間以外でも、政治活動の範囲に含まれる行為、および立候補の事前準備(選挙人へ働きかけることのない行為)は行うことができます。ただし、候補者の氏名の表現や方法などについて規制があります。
なお、選挙運動期間に選挙期日は含まれません。ただし、選挙事務所の設置(ただし、新設または移動することと、投票所施設から300メートル以内にある事務所は前日まで)と選挙運動用ポスターの掲示(ただし、新たに掲示することや貼り替えをすることは前日まで)は選挙期日までとなります。
選挙の種類と選挙運動期間
- 衆議院議員選挙
選挙運動期間:12日間 - 参議院議員選挙
選挙運動期間:17日間 - 知事選挙
選挙運動期間:17日間 - 県議会議員選挙
選挙運動期間:9日間 - 市長・市議会議員選挙
選挙運動期間:7日間 - 町村長・町村議会議員選挙
選挙運動期間:5日間
注記: ただし、選挙公示日・告示日(立候補届出日)が前倒しされた場合は、その日数分長くなります。
事前運動の禁止
選挙運動期間前に選挙運動をすることは、「事前運動」として公職選挙法で禁止されています。具体的にある行為が選挙運動であるかどうかは、取締機関がその行為の態様、すなわちその行為のなされる時期、場所、対象について総合的に実態を把握し、それが特定の候補者のための投票獲得に直接または間接に必要かつ有利な行為であるかどうかを実態に即して判断することになります。
候補者が行うことができる選挙運動
公職選挙法により認められた候補者の選挙運動は、ポスターなどの印刷物や演説会などの言論などによって行うことができますが、その方法の主なものは次のとおりです。ただし、選挙の種類により、その方法、あるいは数量や規格などが異なるものがあります。
- 選挙事務所の設置
- 選挙運動用自動車の使用
- 選挙運動用葉書
- 新聞広告
- 政見放送(衆議院議員選挙・参議院議員選挙および都道府県知事選挙のみ)
- 選挙運動用ビラの配布(衆議院議員選挙・参議院議員選挙や町村を除く地方公共団体の長の選挙のみ。ただし平成31年3月1日からは、町村を除く地方公共団体の議会の議員の選挙も対象となります。)
- 選挙公報(発行は選挙管理委員会)
- 選挙運動用ポスターの掲示
- 街頭演説
- 個人演説会
- 電話による選挙運動
- インターネットによる選挙運動
- 来訪者や街頭で出会った人など個々面接による選挙運動
文書図画による選挙運動の制限
文書図画(ぶんしょとが)とは、公職選挙法上では文字、記号、絵、写真などが記載されたすべてのものをいい、映像や映写など、視覚に訴えるものすべてが含まれます(インターネットを利用したものを除く)。特にビラ、ポスター、郵便物など文書図画による選挙運動はお金のかかる選挙の原因になりやすいことから、選挙の種類ごとに、種類、規格、数量などが細かく制限されており、その範囲内のものしか使用することができません。
選挙事務所などを新築する際の注意
本市では、景観条例などにより、選挙事務所などを設置するためにプレハブなどの建物を新設する場合は、たとえその設置期間が短期間であっても、建築確認申請など面積などに応じて事前に各種の申請が必要です。詳しくは、下のリンク先をご覧ください。
禁止されている選挙運動
買収
選挙犯罪のうちではもっとも悪質なもので、法律でも厳しい罰則が定められています。候補者はもちろん、選挙運動の責任者などが処罰されたために当選が無効になることもあります。
戸別訪問
誰であっても、特定の候補者に投票してもらうことを目的に、住居や会社、商店などを戸別に訪問してはいけません。また、特定の候補者名や政党名あるいは演説会の開催について言い歩くこともできません。
あいさつを目的とする有料広告
候補者や後援団体(特定の候補者を推薦し支持する団体)は、選挙区内にある者に対し、時候、慶弔や激励などのあいさつを目的とする広告を有料で新聞、雑誌に掲載したり、テレビやラジオで放送したりしてはいけません。
飲食物の提供
誰であっても、選挙運動に関して飲食物を提供してはいけません。ただし、お茶や通常用いられる程度のお茶菓子や果物は除かれます。また、選挙運動員に渡す一定の数・額の弁当も除かれます。
署名運動
誰であっても、特定の候補者に投票をするように、あるいは投票しないようにすることを目的として選挙人に対し署名を集めてはいけません。
気勢を張る行為
誰であっても選挙運動のために、いわゆるデモ行為をしたり、人目を引こうと自動車を連ねたり隊列を組んで往来したりしてはいけません。ほかにも、鐘や太鼓、ラッパ、サイレンなどを高々と鳴らしたり、花火などを用いたりすることも気勢を張る行為として禁止されています。
連呼行為や街頭演説と騒音
選挙運動の期間になると、「連日、選挙運動用自動車のスピーカーで候補者の名前が連呼され、とてもうるさくてたまりません。何とかならないでしょうか。」といった苦情が多く寄せられます。
選挙運動は、公職選挙法により期間や方法が限定されています。候補者などが、選挙運動用自動車から拡声器を使い名前などを連呼したり、あるいは拡声器を使用して街頭で演説をしたりするのも、法律に基づき候補者ができる選挙運動の方法のひとつです。音量の規制は特にありませんが、学校、病院、療養施設などの周辺では静穏を乱さないよう努めなければなりません。また、連呼行為や街頭演説、個人演説会場内以外での拡声器使用は午前8時から午後8時までの間以外は行うことができません。
実際、騒がしいと批判を受けることもありますが、候補者にとっては、法律で限られた範囲内で、精一杯有権者に訴えようとしていることでもあり、有権者にとっても候補者やその政見を知る機会でもあります。そのため、選挙運動期間中はある程度まではご理解をお願いしたいと思います。
一方、選挙運動期間以外に行われる政治活動の街頭演説(連呼行為はできません)には、本市では「浦安市環境保全条例」による規制(音量・禁止時間など。規制内容は地区により異なる)が適用されます。
候補者・政治活動団体・運動員などの皆さんへ
騒音に対する市民からの苦情は、年々多くなっています。本市は市域の大部分が住宅地であり、駅前などであっても近くに多くの住宅が混在しているため、拡声器などの使用に厳しい目が向けられることが多くなっています。
近年は、選挙においても、イメージアップのため騒音に配慮して選挙運動自動車や拡声器による連呼などはなるべく行わないという新たな動きが各地で起こり、選挙の新しいトレンドにもなってきています。
法令を順守いただくことはもちろん、市民生活の静穏にも十分ご配慮をいただき、音量の管理などをお願いします。
政治活動の街頭演説での文書図画掲示規制
公職の候補者など(候補者や立候補予定者。現在公職にある者も含む)が選挙運動期間中に使用できるものを除き、政治活動の一環として道路や駅頭などで行われる街頭演説の場所において、当該候補者などの氏名または氏名が類推されるような事項を表示した文書図画(のぼり旗、プラカード、タスキ、腕章など)は掲示・掲出・着用することができません。
候補者などの政治活動のために使用される文書図画(当該公職の候補者などの氏名や名称など、または氏名が類推されるような事項を表示するもの)や候補者などの後援団体の政治活動のために使用される文書図画(後援団体の名称を表示するもの)については、公職選挙法第143条第16項各号に規定するもの以外は掲示することが禁止されています。
したがって、政治活動として行われる街頭演説であっても、氏名または氏名が類推されるような事項(特定の候補者などと分かるようなマークやキャッチフレーズなども含む)が表示された、のぼり旗、プラカード、タスキ、腕章、衣服類(ジャンパーやTシャツなど)などをその場所で使用することはできません。
なお、氏名などを表示したのぼり旗(既定の街頭演説用標旗を除く)、プラカード、衣服類は、選挙運動の場合でも使用することはできませんので、ご注意ください。
選挙運動が禁止される人
選挙運動は原則誰でも行うことができますが、例外的に次のような人のみは、職務や地位の影響を考慮して公職選挙法により禁止されています。
- 選挙事務関係者(投票管理者、開票管理者、選挙長など)
- 18歳未満の者
- 特定の公務員(中央選挙管理会・選挙管理委員会の委員や職員、裁判官、検察官、会計検査官、公安委員会の委員、警察官、収税官吏、徴税の吏員)
- 選挙犯罪により選挙権・被選挙権を有しない者
次の公務員は個別の法律により政治的活動(選挙運動を含む)が禁止されています。
- 一般職の国家公務員
- 一般職の地方公務員(その職員が属する地方公共団体の区域内のみで規制)
- 国公立学校の教育公務員
注記:また、すべての公務員、特定独立行政法人などの役職員や教育者も、その地位を利用して選挙運動をすることが禁止されるなどの制限があります。
政治(活動)団体
政治資金規正法の規定により、主たる事務所が千葉県内にある政治団体は、千葉県選挙管理委員会に政治団体設立の手続をする必要があります。政治団体とは、次のいずれかに該当する団体をいいます。
- 政治上の主義若しくは施策を推進・支持・反対することを本来の目的とする団体(例:政党・政治結社やその支部、政治研究会、○○市政を考える会など)
- 特定の公職の候補者(公職にある者および公職の候補者となろうとする者を含む)を支持・推薦することを本来の目的とする団体(例:○○○○後援会など)
- 主たる目的が政治活動ではなくても、1や2の活動を主要な活動の1つとして組織的かつ継続的に行う団体
注記:手続きの方法や用紙など、詳しくは下のリンク先をご覧ください。なお、掲載されている「政治団体・候補者の政治活動と収支報告の手引」は、政治団体の届け出、政治活動や収支報告についてまとめた冊子です。政治活動に関係される方は、ぜひご覧ください。
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