男女共同参画社会の実現のために
男女共同参画社会の実現
男女共同参画社会は「女性も男性も、互いにその人権を尊重し、責任も分かちあい、性別に関わりなく、その個性と能力を十分に発揮することができる社会」です。少子高齢化が進み、人口減少社会となった今日、男女共同参画社会の実現は、社会の多様性と活力を高め経済を力強く発展させるものであり、男女間の実質的な機会の平等を担保するものであるとして、国は、男女共同参画参画社会の実現を「21世紀の日本社会を決定する最重要課題」と位置づけています。
男女共同参画社会基本法と5つの基本理念
男女共同参画社会の実現を目指し、国では、平成11年、男女共同参画社会基本法(以下「基本法」)を制定しました。基本法では男女共同参画社会の実現を、「男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うべき社会を形成すること」(第2条)と定義し、男女共同参画社会を形成するための基本理念を掲げています。
男女共同参画社会を実現するための5つの基本理念
- 男女の人権の尊重
- 社会における制度又は慣行についての配慮
- 政策等の立案及び決定への共同参画
- 家庭生活における活動と他の両立
- 国際的協調
また、男女共同参画社会の実現に向け、国、地方公共団体及び国民の役割を示しています。
国、地方公共団体及び国民の役割
- 国
基本法に基づき、5年ごとに男女共同参画基本計画を策定し、男女共同参画社会づくりのための施策を総合的に策定、実施する。 - 地方公共団体
基本理念に基づき、男女共同参画社会づくりのための施策に取り組む、地域の特性を生かした施策を行う。 - 国民
職域、学校、地域、家庭その他の社会のあらゆる分野において、男女共同参画社会づくりに協力することが期待される。
男女共同参画基本計画
基本法で定めた男女共同参画社会の形成を促進するため、平成12年、国は平成22年までを見通した長期的な政策の方向性と、平成17年末までに実施する具体的な施策を盛り込んだ「男女共同参画基本計画」(以下「基本計画」)を策定しました。
第2次男女共同参画基本計画
基本計画策定以降、社会情勢が大きく変化していることから、これまでの取り組みを見直し、平成17年「第2次男女共同参画基本計画」を策定しました。この計画では、政策・方針決定過程への女性の参画の拡大、女性のチャレンジ支援、男女雇用機会均等の推進、職業生活と家庭・地域生活の両立支援と働き方の見直し、科学技術、防災、環境など新たな分野への男女共同参画の推進など10項目を重点事項とし、取組を進めました。
平成21年、国連・女子差別撤廃委員会は、日本の女性差別撤廃条約の実施状況について、日本に対する最終見解を発表し、政策・方針決定過程への女性の参画や雇用・賃金における男女間格差是正の遅れなど、多くの課題を指摘しました。
第3次男女共同参画基本計画
基本法施行後10年間、2次にわたる基本計画に基づき取組を行ってきましたが、これまでの取組では男女共同参画が十分には進まなかったとし、その理由を4つ挙げています。
- 固定的な性別役割分担意識が根強く、解消に対する取組が不十分であった。
- 男女共同参画は、働く女性のみの課題として認識されることが多く、男性の意識が低いなど、意識改革・制度改革につながらなかった。
- 男女共同参画社会の実現に向け、制度・枠組みの変革のための強力なリーダーシップが不足しており、男女共同参画を進めることが経済や社会全体の活性化につながるという意識が不足していた。
- 雇用・就業状況の変化や家族・地域の変容に対応したセーフティネットが不十分であったため、経済・雇用情勢の悪化によってさまざまな困難に直面する人々が増加したほか、出産・子育てで離職する女性の問題の解消、長時間労働の抑制などにつながらなかった。
これらの反省を踏まえ、平成22年「第3次男女共同参画基本計画」(以下「第3次基本計画」)を策定しました。
第3次基本計画では、経済社会情勢の変化に対応して重点分野を新設し、実効性のあるアクションプランとするために重点分野に「成果目標(注記1)」を設定するとともに、令和2年(2020年)までに指導的地位に女性が占める割合を少なくとも30%程度とするという目標(注記2)や女性の活躍による経済社会の活性化・「M字カーブ問題(注記3)」の解消に向けた取組の推進などを掲げました。
第4次男女共同参画基本計画
施策の総合的かつ計画的推進を図るため、基本法に基づき、平成27年「第4次男女共同参画基本計画」(以下「第4次基本計画」)を策定しました。第4次基本計画では、令和7年度末までの「基本的考え方」と令和2年度末までを見通した「施策の基本的方向」及び「具体的な取組」を定めています。
第4次基本計画で強調している視点
- あらゆる分野における女性の参画に向けた女性活躍推進法の着実な施行、ポジティブ・アクション(注記4)の実行
- 男性中心型労働慣行の変革
- 困難な状況に置かれた女性の実情に応じたきめ細かな支援による安心して暮らせるための環境整備
- 東日本大震災の経験・教訓を踏まえた男女共同参画の視点での防災・復興対策・ノウハウの活用
- 女性に対する暴力の根絶に向けた取り組み
- 国際的な規範・基準の尊重と国際社会への積極的貢献による我が国の存在感・評価の向上
- 地域の実情を踏まえた推進体制の整備・強化
注記
- 「成果目標」とは、それぞれの重点分野に掲げる具体的施策を総合的に実施することによって、政府全体で達成を目指す水準。
- 「202030%(または「202030」)」とも言い、社会のあらゆる分野において、2020年までに指導的地位に女性が占める割合を少なくとも30%とするという目標。
- M字カーブとは、女性の労働力率(15歳以上人口に占める労働力人口(就業者+完全失業者)の割合は、結婚・出産期に当たる年代に一旦低下し、育児が落ち着いたときに再び上昇するという、いわゆるM字カーブを描くことが知られている。近年M字の谷が浅くなってきている。
- 202030%という目標に向けた取組として、ポジティブ・アクション(積極的改善措置)が推進される。ポジティブ・アクションは、「男女が、社会の対等な構成員として、自らの意志によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会に係る男女間の格差を改善するための必要な範囲において、男女いずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供すること(基本法第2条第2号参照)」。
参考:内閣府男女共同参画局「第2次、第3次、第4次男女共同参画基本計画」
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