賃貸住宅から退去するときには、清掃してごみの処理を行い、入居中に取り付けた棚などの造作物などを撤去します。また、入居中に不注意でつけた傷や汚れ、破損したもの(以下「損耗など」)があれば、補修、汚れの除去、修理を行って建物を明け渡さなければなりません。借主には、このような原状回復義務があります。
退去時の原状回復(修復)費用をめぐるトラブルが多く発生していますので、基本的な考え方を理解しておきましょう。
借りている間に不注意などにより生じさせた損耗などは、借主に原状回復義務があります。判例や国土交通省の原状回復ガイドラインでは、貸主と借主の負担区分は次のとおりです。
例:クロスなどの自然的な変色、設備の耐用年数経過による故障など
例:通常の生活によるフローリングの軽微なすり傷、家具の設置跡など
例:不注意・たばこ・ペットによるクロスや畳の傷や汚れなど
注記1:日常の清掃や手入れなどの管理を全くしないなど、一般的・客観的にしなくてはならない注意義務を行わないこと。
ガイドラインでは、借主に原状回復義務がある場合、補修費用の負担割合は、基本的に経過年数を考慮して算出する考え方を示しています。建物の価値は年数の経過とともに自然損耗などにより減少し、その価値の減少分は借主に負担義務はなく、建物を明け渡す時の残存価値を基準に借主に負担割合を算定するとしています。
例えば、退去時にクロスの価値が7割減少(残存価値3割)していて、張替費用が1万円ならば、その3割(3,000円)が借主の負担です。ガイドラインでは内装材(クロス・カーペット・畳など)、設備(流し台・エアコンなど)ごとに耐用年数を示しており、残存価値がわかります。
「入居時にすでにあった傷や汚れなのに補修費用を請求された」というトラブルがあります。トラブルを防ぐため、入居時に貸主と借主が立会い、傷や汚れの有無を確認しましょう。立会い確認をしない場合でも、入退去時の状況が比較できるよう、写真(日付入り)を撮り、記録しておくとよいでしょう。なお、借主が入居中に生じさせた傷や汚れであることの立証責任は貸主にあることを知っておきましょう。
原状回復費用の負担について貸主と話し合いで解決できず、敷金を返してもらえない場合、民事調停による方法もありますが、60万円以下の請求金額であれば少額訴訟制度注記2も利用できます。少額訴訟制度では弁護士などの専門家に依頼する必要はなく、少ない費用で迅速に解決することができます。
注記2:1回だけの審理で判決をすることを原則とする訴訟手続きで、簡易裁判所に申し立てる。60万円以下の支払いを求めるものに限られる。
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